1. ニュースでよく聞く「皇族」とは何か
皇室に関するニュースでは、「皇族」「皇室」「皇位継承」「皇族数の確保」といった言葉がよく使われます。
しかし、そもそも「皇族」とは誰を指すのでしょうか。
天皇は皇族に含まれるのか、親王・内親王とは、女王とは何が違うのかなど。
皇位継承や皇族数の確保をめぐる議論を理解するためには、まず「皇族とは誰か」を押さえておく必要があります。
本記事では、皇室典範の規定をもとに、このことをわかりやすく整理していきます。
2. 皇族とは、皇室典範で定められた身分
皇室典範の第5条にはこう書いてある
皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
皇室典範 第5条
このように、皇族とする者を列挙しています。
ごく簡単に結論を言えば、皇族とはここに書いてある人たちのこと、ということになります。
それぞれについて簡単に解説すると次の通り👇
皇后 天皇の后(きさき)、配偶者、妻
皇太后 先代の天皇の皇后
太皇太后 先先代の天皇の皇后
親王・内親王・王・女王 天皇の子、または男系の孫と曾孫(詳しくは後述)
親王妃・王妃 親王または王の妃(きさき)、配偶者、妻
補足 天皇・皇族の敬称「陛下」と「殿下」
なお、ニュースなどでは広く、天皇陛下以外の敬称は全て「さま」としていますが、皇室典範では敬称について以下のように定めています。
①天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
皇室典範 第23条
②前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。
また、上皇・上皇后については、皇室典範の特例法においていずれも「陛下」としています。
天皇は「皇族」ではない
見てみると分かる通り、天皇は皇室の中心にある存在ですが、皇室典範が定める「皇族」には含まれていません。
上皇と上皇后は「皇族」
なお、上皇と上皇后については、皇室典範の特例法に規定があります。
上皇に関しては、前二項に規定する事項を除き、皇室典範(第二条、第二十八条第二項及び第三項並びに第三十条第二項を除く。)に定める事項については、皇族の例による。
上皇后に関しては、皇室典範に定める事項については、皇太后の例による。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法 第3条・第4条
上皇は先代の天皇、つまり平成の天皇陛下です。
上皇后は上皇の后(きさき)、つまり平成の天皇陛下の皇后です。「皇太后の例による」とありますから、上皇后もまた「皇族」ということになります。
3. 親王、内親王、王、女王の違い
これについては以下のように規定があります👇
嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。
皇室典範 第6条
ここは用語が複雑で難解な部分があるため、ひとつひとつ整理して見ていきます。
まず「嫡出」とは、婚姻関係にある男女から生まれた子で、「皇子」とは、天皇の子です。つまり、天皇と皇后の間に生まれた子が「嫡出の皇子」ということになります。
⭐️補足 なお、一般には「皇子」を天皇の男子、「皇女」を天皇の女子として使うことがあります。しかし皇室典範第6条では、「皇子」について「男を親王、女を内親王」としており、ここでは男女を含む天皇の子という意味で用いられていると読めます。
「嫡男系」とは、少し分かりにくい言葉ですが、「嫡出による男系」と考えると理解しやすくなります。
まず「男系」は「父系」ともいい、父・祖父・曽祖父というように父をたどって血統が繋がることをいいます。
これに「嫡出」の要件が加わるため、各世代の親子関係が、婚姻関係にある父母から生まれた子によって続いている必要があります。
つまり「嫡出の男子を通じて、親子関係によって続いていく男系の血統」をいいます。
「皇孫」は広い意味で天皇の孫です。ただし皇室典範は単なる皇孫ではなく「嫡男系嫡出の皇孫」と言っています。これは要するに、「天皇と皇后の男子を父として生まれた子」、つまり父方をたどって天皇につながる「男系の孫」を意味します。
そのため、天皇と皇后の女子から生まれた子も広い意味では皇孫ではありますが、母方を通じて天皇につながるため、「嫡男系嫡出の皇孫」には含まれません。
つまり、親王・内親王は、天皇の子または孫
現代においては、皇族に「婚外子」が出ることは考えにくいですから、親王・内親王は「天皇の子または男系で繋がる孫」というように理解しておけば十分でしょう。
そして、親王と内親王は単に男女の呼び分けで、男子を親王、女子を内親王といいます。
親王妃は親王の「きさき」
つまり、親王の配偶者・妻が親王妃です。
王・女王は、天皇の3世(曾孫)以下の世代
皇室典範は、王と女王を天皇の「三世以下の嫡男系嫡出の子孫」としています。つまり、天皇の曾孫以下を王・女王ということです。
「三世以下」は重要なところで、皇室典範は皇族の範囲を世代で限定していません。天皇の4世も5世もそれ以降も嫡男系嫡出である限り「永続的に皇族」であることを認めています。
王妃は王の「きさき」
親王妃と同じで、王の配偶者・妻が王妃です。
ちなみに、令和8年(2026)現在の皇室において「王」と「王妃」にあたる方はおられません。
まとめ表 親王・内親王・王・女王
| 世代 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 天皇の子 | 親王 | 内親王 |
| 天皇の孫 | 親王 | 内親王 |
| 天皇の曾孫以下 | 王 | 女王 |

4. 皇族になる場合
皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。
皇室典範 第15条
つまり、一般の国民が皇后となる場合、または皇族男子と婚姻する場合には、皇族となります。具体的には、今の皇后陛下・上皇后陛下・親王妃殿下は、婚姻によって皇族の身分を取得された方々、という整理ができます。
これ以外には「皇族となることがない」とあるため、現制度においては、天皇または皇族男子との婚姻のみが唯一の「皇族になる入り口」になっています。
補足 皇族でなくなる場合
皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。
皇室典範 第12条
皇族は、皇室典範に定める場合には皇族の身分を離れることがあります。特に重要なのが、皇族女子が天皇・皇族以外の者と婚姻した場合です。
この仕組みが、現在の「皇族数の確保」問題と深く関係しています。
まとめ
以上見てきた通り、皇族とは、単に「天皇のご親族」という意味ではなく、皇室典範によって定められた法的な身分です。
皇后、親王、内親王、王、女王など、それぞれの身位(身分)には制度上の意味があります。
また、天皇は皇室の中心にある存在ですが、皇室典範上の「皇族」には含まれない点にも注意が必要です。

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