【皇室典範改正】なぜ養子は15歳以上に限られたのか?【旧宮家養子案】

旧宮家

旧宮家からの養子は15歳以上に限定された

令和8年(2026)6月24日に公表された、政府の皇室典範改正の要綱では、「旧宮家の男系男子が皇族の養子となる案」(以下、「旧宮家養子案」)により養子になる者の年齢要件を15歳以上としています。

皇室典範等の一部を改正する法律案要綱(衆議院、PDF)

今回は、なぜ15歳以上に限定されたのかについて書いていこうと思います。


まず結論

旧宮家男系男子を養子として皇族に迎える案で「15歳以上」とされた最大の理由は、養子となる本人の意思を重視するためであると考えられます。
皇族となることは、国民から皇族になるという極めて重大な身分変動です。なので、本人が一定程度理解し、意思を示せる年齢以上に限る必要があったのでしょう。


民法上、15歳は「本人の意思」が前面に出る年齢

民法に規定される一般の養子縁組でも、15歳未満の場合は、養子本人ではなく父母など親権者を持つ法定代理人が本人に代わって縁組を承諾します。

民法第797条第1項
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。

つまり、皇室の養子入りをするに当たり15歳未満を対象にすると、制度上は本人ではなく親権者の意思のみで皇族になる道が開かれてしまう。これは制度として合理的または倫理に沿った説明が難しくなります。

普通の養子縁組なら「子の福祉」「家庭環境の安定」という説明ができますが、旧宮家養子案は主目的が「皇族数の確保」です。幼い子を、本人の意思と無関係に将来の皇室制度のために皇族にするように見えかねない。

親権者が子の意思によらずに皇族の養子とすることができてしまえば、「親が自分の子どもに特権を得させた」など批判や疑惑にさらされる恐れもあります。

これは、親権者の意思によるものではなく、本人の意思を最大限尊重するための制限と言えます。


皇室典範にも「15歳以上」はすでに出てくる

皇室典範第11条は、15歳以上の内親王・王・女王について、本人の意思に基づき、皇室会議の議により皇族の身分を離れることができるとしています。

皇室典範第11条
年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。

つまり皇室制度の中でも、15歳はすでに皇族身分に関して本人が自ら意思を示せる年齢として使われています。

そうであれば、逆に皇族の身分を取得する場面でも、少なくとも15歳以上の本人意思を求めるのは、制度として整合性があると言えます。


家庭裁判所ではなく皇室会議で判断するための線引き

6月24日に政府が公表した皇室典範改正に関する要綱では、15歳以上18歳未満の未成年者については家庭裁判所の許可を不要としています。

民法では、未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要と決められています。

民法第798条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。(以下略)

しかし皇室の養子の場合、判断の主体は皇室会議に置かれています。(前掲の皇室典範等の一部を改正する法律案要綱より)
これは、皇族となるかどうかが単なる親子関係ではなく、皇室制度そのものに関わるからでしょう。

家庭裁判所はそもそも一般の家庭内・親族間の身分関係や、子の福祉に関わる問題を判断する機関です。よって「皇族数確保」という目的で皇族の養子となる旧宮家養子案は、未成年であるかどうか以前に、家庭裁判所が判断できる問題ではないとも言えます。

もちろん、15歳以上であれば直ちにすべてを完全に判断できるという意味ではありません。だからこそ、本人の意思を前提としつつ、最終的には皇室会議の議を経る仕組みになっていると考えられます。

「本人意思だけで決まるわけではない」「皇室会議がチェックする」という二段構えが見えます。


養子案は、幼少期から皇族として育てる案ではない

もし対象を幼児・児童にまで広げると、今度は逆に、

幼い子を皇室制度維持のために選び、皇族として育てるのか

という方向の批判が生じます。
15歳以上にしたことで、少なくとも制度の建前としては、「幼少期から本人の意思と無関係に皇族化する制度ではない」という反論ができます。


まとめ

旧宮家養子案の「15歳以上」という制限は、皇族になるという重大な身分変動について、本人の意思を制度上尊重するための線引きであると言えます。

「15歳」という具体的な年齢は、民法や皇室典範の規定とも整合性が取れています。特に皇室典範での「15歳以上の皇族の本人意思による皇籍離脱」の規定とは対応性を持たせることが制度的にも必要でしょう。


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