【皇室典範】なぜ「愛子天皇」は「あり得ない」のか?【女性天皇・女系天皇】

皇室典範関係

令和8年(2026)6月28日の毎日新聞によると、自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長が、愛子さまが天皇になることは「あり得ない」と述べたと報じられています。

愛子さま皇位継承「あり得ず」自民・中曽根氏「結婚する人ない」 | 毎日新聞
自民党の中曽根弘文憲法改正実現本部長は28日、富山県高岡市で講演し、皇族数確保の議論を巡り、天皇陛下の長女愛子さまによる皇位継承は「あり得ない」と述べた。現行の皇室典範の規定で、愛子さまに皇位継承の資格がないことを踏まえた発言だが、独身で「…

今回は、なぜ「愛子天皇」が「あり得ない」のかについて書いていきます。


前提

ここでいう「あり得ない」とは、敬宮愛子内親王殿下の資質や人格を論じるものではありません。現行の皇室典範、現在の皇位継承順位、皇嗣の存在、そして今進んでいる皇室典範改正論の枠組みから見て、「愛子天皇」は成立しない、という意味です。

また、女性天皇と女系天皇についてまとめた関連記事があります。
「愛子天皇」とも深く関係する内容なので、よろしければご覧ください。


天皇は人気投票で決まる地位ではない

天皇は、国民の人気投票によって選ばれる地位ではありません。
もちろん、国民から敬愛されることは大切です。しかし、皇位継承の基準そのものが人気や世論によって左右されるようになれば、皇位はその時々の空気に影響される不安定な地位になってしまいます。

憲法第2条によると、皇位は「世襲」とあります。
さらに、皇室典範第1条ではこの「世襲」について、「皇統に属する男系の男子」と定めています。

憲法第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

皇室典範第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

したがって、「誰が人気か」ではなく、「制度上、誰が皇位を継承することになっているか」が問題になります。

また、憲法第1条では天皇の地位を、「主権の存する日本国民の総意に基く」としていますが、「国民の総意」と、世論調査の多数派は同じではありません。
もし「国民の総意」を、世論調査によって個々の天皇を選ぶという意味に解してしまえば、皇位は世襲ではなく、事実上の選挙制に近づいてしまいます。これは憲法第2条の「皇位は、世襲のもの」という規定と整合しません。


現行制度では、愛子さまに皇位継承資格はない

愛子さまは、天皇陛下の長女であるため「皇統に属する男系」です。

しかし、すでに見たように皇室典範では「男系の男子」が皇位を継承することとなっているため、「男系の女子」である愛子さまは天皇になることはできないことになります。

愛子さまが天皇陛下の直系のお子様であることと、皇室典範上の皇位継承資格があることは、別問題です。


すでに秋篠宮殿下が皇嗣であると宣明されている

令和2年(2020)11月8日、今の天皇陛下が即位したことにより、皇位継承順位が第1位となった秋篠宮文仁親王殿下を「皇嗣である」と国の内外に明らかにする「立皇嗣の礼」が執り行われました。

皇嗣とは、次に皇位を継ぐ立場にある皇族であり、秋篠宮さまは天皇陛下の「立皇嗣宣明」により、皇嗣に立てられました。

その時の天皇陛下のお言葉は次の通り。

本日ここに,立皇嗣宣明の儀を行い,皇室典範の定めるところにより文仁親王が皇嗣であることを,広く内外に宣明します。

立皇嗣宣明の儀の天皇陛下のおことば(令和2年11月8日、宮内庁)

この段階で「愛子天皇」を実現させるということは、天皇陛下の立皇嗣宣明によって示された現在の皇位継承の流れを、後から覆すことを意味します。
それは、秋篠宮さまと悠仁さまの皇位継承を事実上否定するだけでなく、天皇陛下が自ら宣明された皇嗣の地位をも軽んじることになりかねません。

したがって、「愛子天皇」論は、単なる人気論でも、女性天皇一般の議論でもありません。現在の皇位継承順位と、立皇嗣の礼の重みをどう扱うのかという、極めて重大な制度上の問題なのです。

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