【いじめ的情報】皇族への誹謗中傷はなぜ止められないのか

感想、反論
「人生壊される恐怖感」皇室への誹謗中傷どう防ぐ? “不敬罪”一部から懸念の声も…表現の自由とのバランスは?【news23】 | TBS NEWS DIG (1ページ)
ネット上などで相次ぐ「皇室への誹謗中傷」。反論の機会が極めて少ないことから、問題となっています。こうした中、議員らを中心に法整備を含めた対策の検討が始まりました。また、皇室を“特別に扱う”政策を目指… (1ページ)

TBS 9月24日報道より。皇族への誹謗中傷問題が取り上げられました。
今回は、皇族への誹謗中傷について思うところと、なぜ放置されているのかなどについて考えてみました。

1 皇族への「誹謗中傷」の悲惨な現状

例えばこの手の誹謗中傷で最も醜悪だと思うのは、

「悠仁さまには⚪︎⚪︎障害がある」という、極めてプライベートに関わることを、
本人や宮内庁も公開していないのに、無関係な第三者が映像などから医学的な知見が必要な内容について推測し、「障害」という本人の努力で改善できない要素を持ち出し、そのために皇族の資質や天皇にはなれないと評価するもの。

そして、

「秋篠宮さまは上皇陛下の子ではない」という、本人の出自をその根幹から否定するものです。

しかも秋篠宮殿下のみならず、
上皇陛下・上皇后陛下、そして殿下のお子様たちすべてを巻き込んでいるところが非常に悪質だと思います。

さらに悪いことに、こうした無根の誹謗中傷がSNSで日々拡散し、YouTubeでは数百万~1000万回単位で再生されている動画もあります。

秋篠宮殿下のお言葉

令和六年(2024)に、殿下は核心に迫るご意見を明らかにされています。少し長いですが引用します。
記者から、バッシング情報をどう受け止めておられるかを問われた際に、殿下は、

 一般的には、バッシング情報と言われております。ただ、本当にたくさんの情報があるわけですけれども、その中でのバッシング情報というのは、これは第三者と当事者では恐らく意味合いが異なってくるように思います。当事者的に見るとバッシング情報というよりも、いじめ的情報と感じるのではないかと思います。つまり、不特定多数からそういうものが寄せられているという情報ですね。ただこれは、難しいところが多々あって、今は特定の媒体ではなくて、誰もがそういう情報発信できる時代になっています。確か、スマートフォンの普及率というのが、全世帯の90%ぐらいあるのだと思うのですね。そうすると、いい情報悪い情報ということは抜きにして、誰もが情報発信できる時代です。したがって先ほどお話しした当事者にとるといじめ的情報、これについて果たして全体のうちのどれぐらいの人たちが、そういうものを出していて、またその割合がどうなのか、そういうものを俯瞰
(ふかん)
してみないとどういうふうに受け止めるかっていうのは難しいと思いますし、俯瞰
(ふかん)
できる状態じゃないと、受け止める側もきちんとした判断にならないのではないかと思っています。ただ、そういう情報が、アルゴリズム編集(SNSにおいて、どの情報を優先的に表示するかを決定する仕組み)というような形で、ある一定の意見になると、それと違う意見に接しにくくなるという現状があると思いますし、それが今度は情報を見る人の確証へとなっていくと、それに対応するというのはなかなか難しいと思います。

秋篠宮皇嗣殿下お誕生日に際し(令和6年)宮内庁 青文字は筆者注記

殿下の発言の要旨をおおまかな流れにすると、
「いじめ的情報」について、

① 強い断定や刺激的な動画が伸びる
② 再生数・いいね・コメントが増える
③ SNSのアルゴリズムが「関心が高い」と判断して類似投稿をさらに出す
④ 利用者は同じ方向の情報ばかり見る
⑤ 実際は反論もあるのに「みんなそう思っている」「これが世論だ」と感じる
⑥ その“多数派らしさ”が、内容そのものの信憑性まで補強し「確証」に変わる

というものです。
「悠仁さまの障害」「秋篠宮さまは上皇陛下の子ではない」という情報は最初は荒唐無稽と捉えられていても繰り返し再生されることによって、このような順序でまるで事実であるかのように語られるようになるのです。

名誉毀損と侮辱は刑法犯

こうした現状が「ほとんど放置されている」のは明らかに健全ではありません。
「正当な批判」などとは到底言えず、これらの中には刑法の「名誉毀損」または「侮辱」にあたるものもあります。

(名誉毀損)
第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。


2 非現実的で何の実効性もない法律

しかし、これら二つの罪は「親告罪」であり、被害者がその被害を訴え出なければ裁判をすることができません。

(親告罪)
第二百三十二条 この章の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后又は皇嗣であるときは内閣総理大臣が、外国の君主又は大統領であるときはその国の代表者がそれぞれ代わって告訴を行う。

天皇・皇后・皇嗣などへの侮辱・名誉毀損は、総理大臣が告訴することとなっています。

そして、それ以外の皇族(具体的には紀子皇嗣妃殿下、各親王殿下、各親王妃殿下、各内親王殿下、各女王殿下)は一般人と同じように、被害を自ら訴え出なければならないという、

「皇族が一般人からの名誉毀損または侮辱を告訴する」という、非現実的でまったく実効性のない制度となっています。実際、これが行われた例はひとつも確認できません。


3 非親告罪にすべき

今の現状と、天皇と皇族の立場の特殊性・中立性を考えれば、名誉毀損と侮辱を天皇・皇族に限って非親告罪とした方が良いのではないかと思います。
つまり、窃盗や暴行などといった他の多くの犯罪と同じく「誰が見ても犯罪である行為を当然に摘発する」ということです。そこには、被害者の意思を問う必要はありません。

それが難しいというのであれば、せめて、すべての皇族が天皇・皇后・皇嗣などと同じく「総理大臣が告訴する」仕組みに切り替えるべきではないでしょうか。


4 ただし、非親告罪にするだけでは解決しない

非親告罪にすることは必要だと思います。しかし、これだけでは解決しない難しさがあります。

「名誉毀損」「侮辱」を立証する難しさ

例えば、「悠仁さまは⚪︎⚪︎障害である」「悠仁さまは⚪︎⚪︎障害があってかわいそう」
などの発言は事実と違っていたとしても、これのみで罪を問うことは困難です。

名誉毀損罪と侮辱罪が守るのは、本人の気持ちではなく名誉という社会的評価です。
「障害がある」と言われること自体が社会的評価を低下させるとなると、「障害者は社会的に劣った存在である」という認識を法が前提にしているようにも見えてしまうわけです。

ところが、
「悠仁さまには⚪︎⚪︎障害がある。だから正常に公務ができない」
「天皇になる能力がない」
「お気の毒なので皇族を辞めた方がよい」

まで一体として発信されれば話が変わります。
法律で問題とされるのは、障害があることを指摘することではなく、「障害を利用して人物の価値・能力・尊厳を貶める」ことです。

これは言い換えれば、法に触れないままに「悠仁さまが⚪︎⚪︎障害である」と発信し続けることが可能な構造になっています。
発信者がわざわざ「だから皇族として不適格だ」などと言わなくても、視聴する側が「障害があるのに皇族としてやっていけるのか?」、「天皇になれるのか?」といったネガティブなイメージを作ることもできてしまうわけです。


5 YouTubeなどのプラットフォーム側が対応すべき

こうした状況を改善するためには、刑事罰だけではなくX、YouTube、Instagramなどのプラットフォーム側での対応が不可欠だと思います。

実は、日本にはすでにそのための法律があります。
令和7年(2025)4月に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」では、大規模なSNSなどに対し、権利侵害情報への削除申出を受け付ける窓口を設け、必要な調査を行い、原則7日以内に削除するかどうかを判断して申出者に通知することなどを義務付けています。削除基準や実際の運用状況についても公表しなければなりません。

先述のように、刑法の侮辱罪や名誉毀損罪で処罰することが難しい事例は多いです。
しかし、こうしたプラットフォームは刑事裁判所ではありません。

「ネガティブに受け取られかねない」、「名誉を侵害する恐れのある」ような発信を行う者に刑罰を科すのではなく、
・投稿を削除する
・おすすめ表示から外す
・収益化を停止する
・同じ人物について根拠のない健康情報を反復するアカウントを制限する

といった措置を、自ら定めた利用規約に従って行うことができます。
「犯罪ではないから何を発信しても構わない」ではないのです。

むしろ刑法で拾うことのできないグレーゾーンの人格攻撃に対応することこそ、巨大な情報流通の場を提供するプラットフォームに求められる役割ではないでしょうか。


6 政府・宮内庁には今すでにできることがある

すでに現在の制度で政府にはできることがあります。
先の「情プラ法」では、総務大臣は対象事業者に対して報告を求め、法律上の義務に違反している場合には是正を勧告し、それでも従わない場合には命令することができます。

少なくとも、「海外企業だから日本政府には手を出せない」という状況ではないことは明らかです。

宮内庁も同様で、令和8年(2026)7月には「余りにも事実と異なる報道」やSNS上の偽情報があれば、正確な事実関係を指摘したり、SNS事業者や関係省庁と連携したりすると国会で答弁しています。

○石川(勝)委員 次に、皇室の品位を守るための報道対応についてお伺いをいたします。
 新たに皇族となられる方を含め、皇族に対する過度な報道やSNS上での誹謗中傷も懸念される中で、皇室の尊厳を守る観点からどのような対応になるのかについて御見解を伺います。

○緒方政府参考人 お答えいたします。
 皇室に対する国民の理解を増進するためには、皇室の方々の御活動やお人柄について正確な情報をタイムリーに多くお届けすることが重要であると認識しており、宮内庁では、こうした観点から、ウェブサイトの充実やSNSによる積極的な情報発信等に努めているところであります。
 また、余りにも事実と異なる報道がなされたり、SNS上における偽情報の発信、拡散等があれば、必要に応じて、正確な事実関係を指摘したり、SNS事業者や関係省庁等と連携して対応することとしております。
 引き続き、こうした取組を通じて、皇室に対する国民の理解の増進に努めてまいります。

国会会議録検索システム 第221回国会 衆議院 議院運営委員会 第34号 令和8年7月10日

宮内庁がSNS事業者へ働きかけること自体はすでに想定されているのです。
そうであるならば、これをもっと組織的に行っても良いのではないでしょうか?


まとめ:今、1個人でできること

養子皇族を守らなければならない

旧宮家からの養子縁組制度を明記した改正皇室典範の施行は10月24日です。
SNSなどの誹謗中傷から養子となられる方をお守りするためには、こうした対応が必須です。

現皇族の方々ですら十分にお守りできていない現状で、どうして国民から皇族となる方をお守りすることができるのでしょうか?

すでに養子に対する誹謗中傷は始まっており、漫画家の小林よしのり氏は自身のサイトで、

しかも現実に養子希望者などいるはずもないのに、「儀式をやるから立候補してよ」と呼びかけてるつもりなのだろう。
ほいほいと現れて挙手する馬鹿がいるのか?
どんな卑しいマヌケヅラか見てみたい。

と、これから養子となる方を攻撃しています。
宮内庁は高市政権の犬だった!(小林よしのり ブログ 9/18)

個人として担当官庁にメッセージを送ることができる

宮内庁「ご意見・ご感想」
皇族への誹謗中傷・偽情報に対して、宮内庁自身の対応強化を求める先。

警察庁「御意見箱」
名誉毀損・侮辱などの刑事の対応や、その在り方について意見を送る先。

総務省「ご意見・ご提案」
「情報流通プラットフォーム対処法」を所管。
X・YouTube・Instagramなどに通報しても機能していない、第三者通報にも実効的な審査を求めたい、という意見について直接的な宛先です。

首相官邸・内閣
名誉毀損罪・侮辱罪の告訴権者である総理大臣、また非親告罪化など、政府全体としての法改正・政策対応を求める場合の窓口。

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