本記事では、令和5年(2023)11月〜同6年(2024)4月にわたり開催された、麻生太郎氏が会長を務める自民党「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」以後、麻生氏が皇族数確保策・皇室典範改正をめぐってどのような発言をしているのか、報道・公式発表をもとに時系列で整理します。
なお、この話題は現在進行形ですので、麻生氏の皇室関連発言に関わる新しい動きがあれば随時更新していきます。
👇令和6年以前の麻生氏の発言・動きについては以下の記事をご覧ください👇
| 時期 | 年齢 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 昭和15年(1940)9月20日 | 0歳 | 福岡県に生まれる |
| 昭和38年(1963)3月 | 22歳 | 学習院大学政経学部を卒業 |
| 昭和41年(1966)8月 | 25歳 | 麻生産業株式会社に入社 |
| 昭和48年(1973)5月 | 32歳 | 麻生セメント株式会社代表取締役社長に就任 |
| 昭和51年(1976) | 35〜36歳 | モントリオール五輪にクレー射撃日本代表として出場 |
| 昭和54年(1979) | 39歳 | 衆議院議員に初当選 |
| 平成13年(2001)1月 | 60歳 | 国務大臣・経済財政政策担当に就任 |
| 平成15年(2003)9月 | 63歳 | 総務大臣に就任 |
| 平成17年(2005)10月 | 65歳 | 外務大臣に就任 |
| 平成19年(2007)8月 | 66歳 | 自民党幹事長に就任 |
| 平成20年(2008)9月 | 68歳 | 第23代自由民主党総裁に就任 |
| 平成20年(2008)9月24日 | 68歳 | 第92代内閣総理大臣に就任 |
| 平成21年(2009)9月16日 | 68歳 | 内閣総理大臣を退任 |
| 平成24年(2012)12月 | 72歳 | 副総理・財務大臣・金融担当大臣に就任 |
| 令和3年(2021)10月 | 81歳 | 自民党副総裁に就任 |
| 令和5年(2023)11月 | 83歳 | 自民党「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」会長に就任 |
| 令和6年(2024)4月 | 83歳 | 同懇談会で皇位継承に関する自民党の所見取りまとめに関わる |
| 令和8年(2026)現在 | 85歳 | 衆議院議員。自民党副総裁、選挙対策本部長代行、同懇談会会長 |
⭐️参考 ・麻生太郎(自民党)
懇談会後、議論は国会での協議へ
令和7年(2025)4月7日 国民大会での挨拶

この日、「皇室の伝統を守る国民の会」主催による「安定的皇位継承の法制化を求める国民大会」が国会内で開催されました。大会には国会議員95名を含む480名が参加し、自民党を代表して麻生氏が挨拶しました。
麻生氏の発言(1) 「国論を二分してはならない」「国柄に関わる」
(安定的な皇位継承と皇族数の減少に対する方策は)まさにわが国の根幹、国柄に関わる極めて重要なことであり、国論を二分するということがあってはならない
ここは麻生氏の皇室観とも関わる箇所といえ、かなり重要だと思います。
「国論を二分してはならない」すなわち、皇室問題を政争化・世論を過熱、対立化させないという姿勢を示していると読めます。これは、懇談会初会合(令和5年11月)の時の発言「静謐な環境」ともつながってきます。
「国柄」について 令和元年(2019)国会答弁から

過去の国会答弁で、麻生氏は「国柄」について触れたことがありました。
(天皇制の問題、少子高齢化など)こういったような問題は、これは超長期的には断固対応しておかないといかぬ大きな問題なんだと思いますので、こういった点は、きちっとした国のあるべき姿というものは頭に置いて、腹におさめて、きっちり覚悟を持って、為政者としては事に当たっていただかねばならぬところだと思っております。
(中略)
今申し上げたような、国のあるべき姿、国柄、いろいろな表現がございますけれども、そういったものと少子高齢化の話と国際化の中にあって、日本のあるべき、国家としての存在するべき位置等々については、これは、長期的には、国政を預かる者として常に考えておかねばならぬ大事な問題ではないかなと。
第200回国会 衆議院 財務金融委員会 第2号 令和元年11月5日(国会会議録検索システム)全文を見る
麻生氏は、令和元年の衆議院財務金融委員会でも、「国のあるべき姿、国柄」を、国政を預かる者が常に考えるべき長期的課題として挙げていました。この発言は安定的皇位継承や皇族数確保策そのものを論じたものではありませんが、令和7年の国民大会で安定的な皇位継承を「国柄に関わる」問題と位置づけた発言とあわせて見ると、麻生氏が皇室制度を国家の長期的なあり方と結びつけて捉えていることがうかがえます。
麻生氏の発言(2) 内親王・女王方の配偶者と子供は皇族としないことが極めて重要
内親王・女王方の配偶者と子供は皇族としないことが極めて重要だ。配偶者が皇族になるとすると、結婚のハードル自体が非常に上がってしまう等、多数問題がある
この発言は制度設計の具体論であり、麻生氏の立場をかなり具体的に示しています。
つまり、麻生氏は第1案そのもの、すなわち内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する案を否定しているわけではない。むしろ皇族数確保策として認めつつ、そこから配偶者や子まで皇族に広げることには明確に線を引いている、ということですね。
ここから読み取れるのは、主に2点です。
1つ目は、女系皇族・女系継承につながる余地を避ける制度設計です。
配偶者や子を皇族としないということは、身分保持案を女系継承論へ接続させないための重要な線引きになります。
2つ目は、当事者の結婚への影響を問題視している点です。
配偶者まで皇族になる制度にすると、結婚相手に極めて重い公的身分を負わせることになり、結果として結婚そのもののハードルが上がる。麻生氏はここを制度上の実務的問題として見ているわけですね。
麻生氏の発言(3) 今国会中に法案を提出させ、成立させる
早期に立法府の総意を取りまとめ、これを踏まえた法案(皇室典範の改正)を今国会中に政府に提出させ、成立させるべく全力を尽くしていく
この発言からはかなりの熱意を感じられます。
単に「議論しましょう」ではなく、立法府の総意形成 → 政府への法案提出要請 → 今国会中の成立まで、具体的な工程を示しています。
麻生氏は「国論を二分するということがあってはならない」と述べる一方で、早期の皇室典範改正を実現させるべく全力を尽くす考えも示しました。これは、皇室問題を静謐に扱うべきだという姿勢と、法制化を急ぐべきだという強い意欲が併存している発言といえるでしょう。
⭐️参考 「国論を二分してはならない」安定的皇位継承 麻生最高顧問が国民大会で決意(自民党)
もっとも、令和7年中に皇室典範改正が実現することはありませんでした。
次に述べる、その後の与野党協議では、女性皇族の婚姻後の身分保持案と、旧宮家男系男子の養子案をめぐる調整が折り合わず、結果として翌年以降の課題として持ち越されることになりました。
令和7年6月5日報道 養子案棚上げへの反発 麻生氏派閥会合にて

麻生氏の認識
男系男子養子案で折り合えない場合は取りまとめに応じられない
自民・麻生氏 養子縁組で合意できないと取りまとめ応じない考え 皇族数確保めぐる与野党協議(TBS NEWS DIG)
TBS NEWS DIGは、3月10日に行われた皇族数確保をめぐる与野党協議に関連して、麻生氏が麻生派会合で、皇統に属する男系男子を養子として皇族に迎える案で折り合えない場合、取りまとめには応じられないとの認識を示したと報じました。
⭐️参考 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議・議事録(PDF、参議院)令和7年3月10日協議
⭐️補足 「麻生派」とは、麻生氏を会長とする自民党内の派閥・政策集団「志公会」の通称。
麻生氏の発言
続いてTBS NEWS DIGは、会合において麻生氏が次のように述べたことを報じています。
「多くの党が支持している養子縁組案を棚上げし、取りまとめがおこなわれることは不自然であり、まかりならない」
同上
養子案の棚上げについて、麻生氏の不快感が感じられる強い発言です。
あえてこういった発言がなされたということは、実際に養子案が棚上げにされる可能性があったことが推測できます。すなわち、第1案である女性皇族の身分保持案だけが先行されかねないような状況があった、ということではないでしょうか。
実際に毎日新聞においては「女性皇族が結婚後も身分を保持する案のみでの先行決着も検討されたが合意に至らず、」今国会の意見集約は見送られることとなったと報じています。
⭐️参考 皇族数確保、今国会集約見送り 女性の夫と子の対応巡り隔たり(毎日新聞)
また麻生氏発言によると「多くの党が支持している」とのことですが、3月10日に行われた与野党協議で示された各党の意見を見ると、自民ほか維新・国民民主・公明などは養子案に賛成しており、多くが支持していることが分かります。
⭐️参考 「皇族数確保のための第2案『皇統に属する男系男子を養子に迎えること』」に対する各党・各会派の意見の要点(PDF、参議院)
これは少なくとも麻生氏側から見ると、
第1案、つまり女性皇族の婚姻後の身分保持案だけを先にまとめ、
第2案、つまり男系男子養子案は後回しにされかねない
という危機感があったことを示していると思います。
また、多くの支持を得ている中で第1案だけが先行してまとめられる状況は確かに「不自然」であり、麻生氏の発言は筋が通っています。
先の「男系男子養子案で折り合えない場合は取りまとめに応じられない」という認識も、こういった状況への警戒と反発からくるものと思われます。
令和8年(2026)4月16日報道 麻生氏派閥会合にて

4月15日に、皇室典範改正について話し合う与野党協議がおよそ1年ぶりに開催され、その協議の内容を受けて麻生氏が自身の派閥の会合においてなされた発言です。
⭐️参考 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議・議事録(PDF、参議院)令和8年4月15日協議
麻生氏の発言(1) 皇族数確保は「死活的な課題」「今国会中に改正を実現」
以下はテレ朝ニュース報道によるものです。
「(皇族数の確保策について)死活的な課題だと思っている」と述べ、
自民・麻生氏「これこそ死活的な課題」皇族数確保「力尽くす」今国会での皇室典範改正(テレ朝NEWS)
「今国会中に皇室典範の改正を実現することが何よりも求められている」と訴えました。
そのうえで、
「私もそれに向け、力を尽くしたい」と強調しました。
昨年の国民大会での「国柄に関わる極めて重要なことであり、国論を二分するということがあってはならない」にも通じ、皇族数確保を死活的な課題と強い言葉で表現しました。麻生氏は、皇族数確保策を単なる制度改正ではなく、「死活的な問題」すなわち「国家の生死」にも関わる課題として捉えつつ、議論を政争化させない形で、早期に法制化へ進めるべきだとの姿勢を示しているといえます。
麻生氏の発言(2) 「今後は立法府としての意見を取りまとめる」
以下は、(1)と同日の記事ですが、TBS NEWS DIG報道によるものです。
「ごく一部を除き各党の意見も出揃っている。今後は立法府としての意見を取りまとめ、今国会中に皇室典範の改正を実現することが何よりも求められている」
自民・麻生副総裁 皇室典範改正に向け「死活的な課題、今国会中の改正実現が何より求められている」(TBS NEWS DIG)
改正皇室典範が法制化の局面に入ったことを示す発言です。
令和8年(2026)4月20日 国民大会での挨拶

前年に続き「皇室の伝統を守る国民の会」が主催した「今国会で皇室典範改正を!国民大会」挨拶の中での発言です。この日、与野党の議員や地方議員、一般参加者ら700名が出席し、皇族数確保のための皇室典範改正を今国会で実現するよう求める声明が採択されました。
麻生氏の発言 「今国会中に皇室典範改正を」
皇族数の確保は先送りにできない喫緊の課題だ。今国会中に皇室典範改正を成し遂げなければならない
この4日前の麻生派会合と同じく、今国会中の改正に強い意欲を表明。令和7年の大会時にも「今国会中」を目指していたこともあり、「成し遂げなければならない」という、より強い意思と使命感を感じさせる言葉になっています。
⭐️参考
・皇族数の確保は喫緊の課題 皇室典範改正を求める国民大会(自民党)
・【御礼とご報告】【動画あり】令和8年4月20日「今国会で皇室典範改正を!国民大会」を開催いたしました(皇室の伝統を守る国民の会【公式】)
令和8年5月23日報道 自民党会合にて

麻生氏の発言(1)「いよいよ取りまとめの段階」
(皇族数確保策をめぐる与野党協議は)いよいよ取りまとめの段階に入ってきている。今国会中の皇室典範の改正に向け、引き続き全力で取り組んでいきたい。
皇室典範改正へ最終局面か 自民・麻生副総裁「取りまとめ段階」今国会での法改正に意欲(FNNプライムオンライン(フジテレビ政治部))
FNNプライムオンラインは、麻生氏が福岡市での党会合で、皇室典範改正に関する与野党協議について「いよいよ取りまとめの段階に入ってきている」と述べ、今国会中の改正に向けて引き続き全力で取り組む考えを報じました。
麻生氏の発言(2)「安定的皇位継承の確保は国の根幹に関わる」
安定的な皇位継承の確保は国の根幹に関わる
同上
あわせて、麻生氏が「安定的な皇位継承の確保は国の根幹に関わる」と述べたことも紹介されています。これまでの発言でも折に触れ同様の発言がしばしばみられ、麻生氏の根底にある皇室観・国家観として定着しているものとみられます。
そうであれば「国の根幹」「国柄」「国のあるべき姿」というのは、非常に麻生氏らしい言葉遣いでもあると思います。令和元年で見られた「為政者としての覚悟」「国政を預かる者」といった表現が、平成期・令和期をまたいでつながっている感じがあります。
以降については動きがあり次第、随時更新とさせていただきます。




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